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    二日限りのクリスマス4

    一二月二五日
    昼頃、警察がやってきて写真を見せてきた。
    「あなたはこの子に会いましたか?」
    はっと息をのむ。昨夜の子だった。
    その後警察署に連れて行かれて聞かされた話は信じられなかった。
    彼女は僕と別れた後、真夜中ごろに再び廃ビルの所に戻ってきていたらしい。そして、屋上から飛び降りた。通りがかりの人が見つけた時には、既に冷たくなっていたそうだ。
    「彼女、携帯を持っていたのですが、アドレスが一件だけ入っていましてね。それが君のだったんです。何か知っていることはありますか?」
    僕は全てを話した。急に声を掛けられたこと。あの廃ビルは自分が教えたこと。別れる前に番号交換をしたこと。
    警官は全てを聞いた後、「実は」と切り出した。
    「あなた宛と思われる遺書があるんです。読みますか?」
    答えは決まっていた。


    遺書を読んだ後、僕は呆然としていた。彼女がそんな人生を送っていたとは全く思えなかった。
    よく考えれば、ヒントはあったのだ。自分の携帯のアドレス帳で彼女の電話番号を確認する。三八八八一一一五九。これを携帯で打つと……
        サヨウナラ
    あの時、彼女は既に死ぬ気だったのだ。それに気づいていれば止められたかもしれないのに。
    恐らく、あれは彼女の一種の賭けだったのだろう。自分の命を賭けた。そして散った。
    僕は自分の愚かさを後悔し続けるだろう。でも、絶対に自分を責めない。それが、守ることのできなかった、名前すら知らない、彼女の最期の願いだから。




    これをキミが読んでいる時は、私は既に死んでいるでしょう。そうなるように仕組みましたから。
    キミは悲しんでるかな?それとも恨んでいるかな?ま、死ぬつもりの私にとってキミの気持ちなんてどうでもいい事なんだけどね。
    じゃあ、私が死んでいろいろ迷惑をかけると思うから、お詫びに昔話でも。
    むかしむかし、ある所に女の子がいました。その子は面倒見のいい母と父に育てられ、不自由なく育っていきました。
    しかし、ある時父の態度が豹変しました。母と娘に暴力を加え始めたのです。どうやら父は会社では「悪魔」と呼ばれるほど怖く、部下にも上司にも恐れられていたようです。家では猫をかぶって大人しくしていたのが、ストレスが溜まりすぎ、暴れてしまったみたいです。
    それから家庭は滅茶苦茶になりました。母は発狂し、女の子は身も心も傷ついて家を出てしまいました。
    彼女が町をとぼとぼ歩いていると、男の子を見かけました。その子の顔はすごく悪かったけど、なぜか引き寄せられました。
    後はもう分かりますね。彼女、いや私は君と話したことで気持ちが楽になりました。傍目から見るとつまらないことでも、本人は楽しかったりするんです。
    だから、絶対に自分を責めないで。君のせいで自殺する訳ではないから。逆に気持ちだけでも楽にしてあげられたことを誇りに思って。まあ、あのメッセージに気付かなかったのは減点かな。
    あと、最後に一つ謝らせて。私が死んだら、あの廃ビルの屋上も封鎖されちゃうかも知れない。せっかくの綺麗な場所だったのに。でも、死ぬ場所は自分で決めたかったの。ごめんね。あ、そうそう。その……男の子同士っていうのも……やめた方がいいと思うよ。



    まだ少し紙が残ってるか。じゃあ、言いたかったけど、書きたかったけど、それでも君が悲しむと思って伝えなかったことを、やっぱり伝えます。


    あの時、君に声をかけたのは、たぶん、きっと、きみが――――――――

    <完>
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    テーマ : 自作連載小説
    ジャンル : 小説・文学

    二日限りのクリスマス3

    「おっそーい!」
    待ち合わせ場所である駅前に着いた僕にかけられた言葉がこれだった。買い物に時間を掛け過ぎたかな?時計を確認してみる。……五時半だった。
    「……なぜ待ち合わせ三十分前に来て遅いと言われるの?」
    「デートの時は待ち合わせ時間の一時間前に来るのが常識!」
    残念ながら今までデートをしたことは一度もないが、それが絶対常識でない事は断言できる。
    「それよりほら、早く行こう」
    「そうだね―」
    ビルに向かって歩きながら話す。
    「実は、プレゼントを持って来たんだけど……」
    「わー!本当?何だろ?」
    小さい紙袋を差し出すと、彼女はそれに飛びついてきた。そんなことをしなくても紙袋は逃げないのに。
    「ネックレスじゃん!それなりに女心が分かってるね」
    そう、彼女に買ったのはネックレスだ。何しろ昨日会ったばっかりだったので、好き嫌いの分からない相手に買える物は少なかった。…………あのネックレスを選んだのは実は僕ではなくて事情を聞いた店員さんであることは秘密にしておこう。
    「…………う……」
    ネックレスを選ぶまでの苦労を思い出していると、唐突に彼女が泣きだした。
    「ど、どうしたの?何かまずいことでもあった?……もしかしてネックレスが嫌いだったり…………」
    「ち、違うの!ただ………………やっぱ何でもない」
    「?」
    何だかよく分からないがちょうどビルについたので疑問を先延ばしすることにした。
    「で、これが昨日言っていたビルね~」
    「うん」
    僕が紹介した場所は東京都内にある廃ビルだ。周りに高い建物がないため、見晴らしがいい。
    僕と彼女は階段を上って行った。屋上に通じるドアを開ける。
    「わあ……」
    彼女が感嘆の声を上げた。
    目の前には東京の夜景が映っていた。ちょうど中央には東京スカイツリーが見える。いつもの夜景も綺麗だが、今日のは今まで見た中でも一番だった。
    「顔が悪い割にはいい性格してるしいい場所知ってんじゃん」
    「……けなされているようにしか聞こえないんだけど」
    「え~。褒めているんだよ?」
    だったら顔が悪いと言わないで欲しい。
    「ねぇ、明日もここに来ていい?」
    「でも、明日は用事があって……」
    「大じょーぶ!一人で来るから」
    「なら、別に確認とらなくてもいいよ」
    よっぽどこの景色が気に入ったようだ。ここに連れて来て正解だったな。
    「……ねぇ、突然だけどケータイ持ってる?」
    「え?持ってるけど?」
    「じゃあメルアド交換しよ?」
    「いいよ……」
    と携帯を取り出して気付く。そう言えば電源を切っていたんだった。
    「ごめん。今立ち上げるから待ってて」
    「……何で電源を切ってたの?」
    ……何て言えばいいのか…………
    「まあ……男に言い寄られていて、それが鬱陶しくて……」
    と説明していると、彼女が引いていた。
    「もしかして……そういう趣味だったの……?」
    「え……だからちが……もう!」
    結局誤解を解くのに5分かかった。


    誤解が解けた後、先ほどしようとしていたメルアド交換をした。
    「……あれ?君の名前の所が空欄だし、電話番号もおかしいよ?」
    番号の所には「三八八八一一一五九」と書かれていた。
    「ううん、いいの。メルアドは合ってるから」
    確かにメルアドは合っているようだが……なぜか違和感があった。
    「それじゃ、もう帰らないといけないから」
    「え?ああ……わかった」
    結局あまり一緒に過ごせなかったな……なんか寂しい。
    「メリー・クリスマス!」
    「……メリー・クリスマス」
    そうして僕らは別れた。

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    二日限りのクリスマス2

    十二月二十四日

    二時頃、電話がかかってきた。
    「やあ、クリスマス前日のイライラを楽しんでるか?」
    「なんだ、エロ……L君か」
    「今エロと言ったな」
    L君(通称馬場蓮太郎)とは学校での親友かつ幼馴染だ。恐らく僕の今夜の予定が「一人寂しく自分の部屋で過ごす」だと断定して一緒に寂しく騒がないかと誘いに来たのだろう。だから先に言ってやった。
    「今夜は先客がいるから行けないよ」
    「いつもみたいに一緒にさわ…………おい、今何て言った?」
    「今夜は先客がいるから行けないよ」
    数秒の沈黙。それを破ったのはL君だった。
    「お前……そんな嘘をつかなくても一人で過ごしたいときはそう言えばいいのに」
    「嘘じゃないからね」
    とりあえず間違っているので訂正。
    「嘘だ!なぜ……なぜモテランキング一位の俺より先にお前に彼女ができるんだ!」
    「『モテ』の上に『非』が抜けているよ」
    しかもまだ彼女とも言ってないし。合ってるけど。……いや、彼女と言っていいのかな?
    とりあえず面倒なので昨日の出来事を説明した。
    「……というわけで」
    「……事情は分かった。だが……俺はどうすればいいんだ!」
    「いつもより一人少ないメンバーで騒げばいいと思う」
    別に十人が九人になった位で騒ぐことではないと思う。
    「このままじゃコイツと俺がくっつくなんて事が起きにくく……」
    待った。何か聞き逃してはいけない言葉を聞いた気がする。…………あ。
    「ねえ、L君。僕と君がくっつくって……どういうこと?」
    「う」
    どうやら無意識に独り言を言っていたようで、沈黙の後、汗がだらだら出ているのが見えるような話し方をしてきた。
    「そ、そうだな。……う、運良く他の人たちは来れるみたいだし………」
    「僕と君がくっつくってどういうこと?」
    「…………」
    「…………」
    ピッ
    さて、とりあえず携帯の設定を変えるか。どうやって着信拒否の設定画面に移れるんだっけ…………
    携帯をさわっている途中でまた電話がきたのでいやいや出る。
    「何ですかエル…………BL君。今着信拒否の設定をしなければいけないんだけど」
    「確かに頭文字はB・Lだけど!ってだから誤解だって!くっつくというのは……その……結婚するという意味で……」
    全然誤解でない。ちゃんとそういう意味でこちらはとっている。
    「さようなら」
    「ごめんなさい待って下さいお願いします」
    電話を切ろうとするとBL君が慌てて止めに入った。仕方がないな…………
    「どうしたの?BL…………ボーイズ・ラブ君?」
    「名前が違うから!……それで、実は家の方針で……男子としか結婚できないって……」
    一体BL家の過去に何があったんだ。というかどうやって子供を産んだんだ。
    「それで……お前を許嫁にしろって……」
    成程、つまりはBL君と関わっている限り、僕は嫌な結婚を迫られるのか。…………よし。
    「さようなら」
    「ちょっとまっ……」
    相手が何か言いかけたが、電話を切った。またかかってくると面倒だから、電源も切ってしまおう。家に来るかもしれないから、どこかに出かけた方がいいな。
    「…………そう言えば、デートの時に何かプレゼントを持って行った方がいいのかな……」
    待ち合わせまでかなり時間はあるけど、変態が来ると面倒だ。今出ればプレゼントをゆっくり選んでも大丈夫だろう。何を買おうかな……

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    二日限りのクリスマス1 

       十二月二十三日
    「ねえ、キミ明日ひま?」
    突然僕は彼女に声をかけられた。
    「……なぜ?」
    「一緒にクリスマスイブを過ごしたいから」
    「……そうじゃなくて、なぜ僕に声をかけてきたの?」
    念のため言うと、僕と彼女は知り合いではない。顔も見たことのない顔だった。
    「なんとなく。なんか人から嫌われていそうな顔だったからさ」
    僕は自分の顔の酷い言われように頭にきたが、事実なので反論できなかった。……でも初対面の人に対する言葉ではない。
    「で、ひまなの?」
    「暇ではあるけど、嫌」「よかった!じゃあ明日の夕方六時に」「最後まで人の話を聞いてよ!」
    勝手に話を進めていこうとするのを慌てて止める。
    「え~!何で嫌なの?こんな美人に誘われているのに」
    自分で美人と言うな。……まあ確かに顔はきれいだけど、頬にあるあざが顔を台無しにしている。
    まずは相手の非常識さを自覚させよう。
    「もし君が町を歩いている時に知らない人からいきなりデートに誘われたらどうする?」
    「喜んで誘いを受ける」
    ダメだ。コイツとは価値観が正反対だ。
    どうやらこのまま話していてもらちが明かなさそうだな。
    「まあ……いいよ」
    僕の承諾(嫌々だが)に彼女は跳びあがって喜んだ。
    「よかった!それでさ、どこか高くて景色のいい所を知ってる?ビルの屋上とか」
    ちょうどそれに当てはまる場所があったのでその場所を教えると、
    「じゃあその近くの駅で夕方六時に待ち合わせね!」
    と言って僕達は別れた。
    その時、僕の心の中には鬱陶しさと……ちょっとだけ、嬉しさも混じっていた。

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    Author:paperskytree
    現在高校二年。学校が特殊なため色々困っている。

    好きな作家は葵せきなさん。好きな本は「生徒会の一存」シリーズ

    絵師さんは涼香さんが一番好きです。

    気づいている人もいるかもしれませんがブログに載せている本は必ず一週間で7冊以上になるように努力しています。…ということは僕の読まなければ本の数は……?

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